ヒミツの王子さま!


「カキーン」とどこからともなく甲高い金属音。


次の瞬間、俺は夢と現実の狭間から引きあげられた。





「…………ナオ! 危ないっ」


「え」




なにやら焦った壱也の声。
それと同時に暗くなる視界。




なんだ?


なにが起こったんだ?



訳がわからず恐る恐る目を開けた。





と、そこには。



はだけた制服。
緩んだえんじのネクタイ。


浮き出た鎖骨。


さっきまで隣にいた、壱也の……胸板。





って、おい。



胸板って……。




……………………は?





「ナオ、大丈夫?」

「え、なにが。 つか何が起こったの」

「…………」



意味がわからずきょとんとする俺は、体勢もそのままに言葉を返す。


俺に覆いかぶさるようにコンクリに手をついた壱也は、そう言いながら心底心配そうに俺の顔を覗き込んだ。



……まではよかったものの。

なぜかそのままフリーズ中。



さっきからなんだんだ。




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