ヒミツの王子さま!
手が動く。
そっとその涙でぬれた頬に。
それは自然で……
ドクン
胸の奥が軋む。
キシキシ締め付けられる。
流れる涙をそっと指で拭う。
りんごみたいに赤く染まる日向の頬。
初めて触れた頬は、壊れてしまいそうなほど柔らかくて、あったかっくて。
目を閉じて、ただ泣く日向に、俺は……。
そっとキスを落とした。
よく言うキスの味は。
レモン味とか。
苺みたいに甘酸っぱい味だとか。
だけど、そんなのとは全然かけ離れてて。
俺にとっては、ただ苦しいだけで。
ただ
日向が口に入れてただろうミルキーの、甘ったるい味が、一瞬フワリとしただけだった。
「……ナ…オ?……」
静かに唇を離した俺を見つめたまま、フリーズしてる日向。
「………ひなが、泣くから、いけないんだ」
大きく見開かれたその瞳からは、もう涙は出てなかった。
……止まってる。
って、なにしてんだ俺!
つ、つい……。
やっちまった……。