ヒミツの王子さま!
俺は先生の計らいで槙野の隣の席に座る事になった。
椅子にズルズルと腰をかけ、ふーっと溜め息をついた俺を見て槙野はコソコソと耳打ちをしてきた。
『ナオちゃん…バレなくてよかったね』
「あ゛?」
…………
今の、聞き逃しませんよ?
俺を“ナオちゃん”って呼んだろぉ!?
俺は槙野をキッと睨みつけて、言葉が喉まで出かかったが、それをグッと飲み込んだ。
そして、きつく結んでいた口を緩め、ふーっと溜め息をつく。
もうここまで来たら諦めるしかない。
こんな事で槙野を責めても仕方ないし・・・・
咲坂ナオちゃんになったろーじゃん!!!
俺は授業の始まった教室で一人、決意を新たにした。
・・・・っても、先は思いやられる。
そして、その決意はすぐに揺らいだ。