ヒミツの王子さま!
それから15分ほど歩いた閑静な住宅街の中。
目的地はあった。
「相変わらずでっかいなー、宮沢んち」
「……」
マジ?
それは見上げてしまうほど大きくて、言葉を失ってしまうくらいの豪邸。
アイツんち……何してんだ?
「あれ? ナオ、来た事ないんだ。去年も、宮沢家を提供してくれたんだよ。なんだか今年は有無を言わさぬ雰囲気って感じだったよねー、計画してるのは前田なのに。宮沢も『別にいいんじゃない?』なんて緩い感じだったし」
開いた口も塞がらず、ポカンと見上げていた俺の手を掴むと、るみは玄関へ向かった。
へえ。
俺が転校してきてから、まだ4ヶ月ほど。
知らないことははたくさんある。
壱也の家なんて、来たこともないし、親が何してるかなんて別に興味ないし。
ピンポーン
そんなことを考えていると、るみは躊躇なくインターフォンを押した。
しばらくして、ドカドカと言う足音と共に玄関が開く。
「はーい」
ガチャ
その先には、なんだかすでに疲れた様子の壱也がいて。
「……いらっしゃい」
「メリークリスマス!ハイ、飲み物買ってきたよ」
ジュースの入った袋を壱也に手渡しながらるみはにこりと笑う。
「さんきゅ」って言いながらそれを受け取ると、壱也は玄関のドアを大きく開けて俺たちを招き入れた。