ヒミツの王子さま!
日向が何かを言いかけた。
だけど俺は……。
「……わかってる!」
「え?」
その言葉を遮った。
「わかってるからさ。 気まずいのはやなんだ。だからさ、忘れて」
「え、なに……どういう」
にゃははって笑いながら俺は日向の頭に手を乗っけた。
「ほーら! 早く行けって!おやすみー」
「ええ? ちょ……ナオ!」
そのままくるりとバスの方へと日向を押し出す。
せっかく『特別』な日なんだ。
日向の口から、ほんとの事は聞きたくないな……。
なんて柄にもなく、そんな事を思ってしまった。
バスの運転手の焦れったそうな顔を見て「俺は乗りません」って言うとポケットに手を突っ込んだ。
あ。
これは……。
ポケットに入っていたモノ。
それは小さな手のひらサイズの箱。
「……」
それをギュッと握りしめると、顔を上げた。
「ひな!」