ヒミツの王子さま!


日向が何かを言いかけた。

だけど俺は……。



「……わかってる!」


「え?」




その言葉を遮った。



「わかってるからさ。 気まずいのはやなんだ。だからさ、忘れて」


「え、なに……どういう」



にゃははって笑いながら俺は日向の頭に手を乗っけた。



「ほーら! 早く行けって!おやすみー」


「ええ? ちょ……ナオ!」



そのままくるりとバスの方へと日向を押し出す。
せっかく『特別』な日なんだ。



日向の口から、ほんとの事は聞きたくないな……。
なんて柄にもなく、そんな事を思ってしまった。



バスの運転手の焦れったそうな顔を見て「俺は乗りません」って言うとポケットに手を突っ込んだ。



あ。

これは……。



ポケットに入っていたモノ。

それは小さな手のひらサイズの箱。



「……」



それをギュッと握りしめると、顔を上げた。




「ひな!」



< 136 / 214 >

この作品をシェア

pagetop