ヒミツの王子さま!
俺自身がそんなにマジに受け止めてないんだ。
だからいいけど……。
なんか他人がそうだと腹立つな。
は?って感じで顔を上げると、そこには担任の成瀬がいて。
成瀬は『ハハハ』なんて笑いながら俺の髪をクシャリと撫でた。
「……笑ってる場合じゃないんスけど」
目を細めてその手を払う。
笑ってんなよ、仮にも担任でしょーが。
鬱陶しそうに顔をしかめた俺の目の前の椅子に腰を落とすと、成瀬はドカッと背もたれに身を投げ出した。
「なんだよ、落ち込んでるかと思ったのに、意外と平気そうだなー、咲坂」
ニッと笑うと成瀬は、「ん?」と俺の顔を伺うように片眉をクイッと持ち上げた。
「これでも落ち込んでるよ。 俺、退学になんの?」
「それはまだわからん。 今、理事長と校長で話し合ってるからな」
「……校長ね。 つか、理事長との会話が漏れて、バレたんだけどね。全校放送で直々のに呼ばれたら、普通みんな何事かと思うよ。それくらい考えてくんないとさぁ」
「ハハハ。 確かに軽率だな。ま、緊張すんなよ」
「……それはない」
緊張じゃない。
してるのは、心配。
俺と一緒にいた、アイツらが心配だ。
きっと、質問攻めだろ?
なんで知ってたのに、黙ってたのかって。