ヒミツの王子さま!


「――成瀬先生」



他の先生に呼ばれて、成瀬は席を立つ。



「ま、俺に任せときな。お前のせいで女子の恰好してた訳じゃないからな」


「……」




肩をポンッとたたかれて、成瀬は理事長室に入っていった。
その背中をただ見送る俺。



でも、だましてたのは確かだし。



…………。










しばらくして、成瀬が教室から出てきた。

その顔は神妙で。

職員室にいる、他の先生達も、成瀬の行動を静かに見守っているようだった。




成瀬はまっすぐこっちに向かってくる。



俯きがちに。






……ドキ


ドキン ドキン





勝手に心臓が加速を始める。

それは重くて、苦しくて。



まるで事件を起こした犯人が、裁判の判定を受ける時みたいだ。






ドクン

ドクン





目の前まで来ると、成瀬はその視線を俺に合わせた。





「咲坂……」





―――――……ゴクン





< 143 / 214 >

この作品をシェア

pagetop