ヒミツの王子さま!
「――成瀬先生」
他の先生に呼ばれて、成瀬は席を立つ。
「ま、俺に任せときな。お前のせいで女子の恰好してた訳じゃないからな」
「……」
肩をポンッとたたかれて、成瀬は理事長室に入っていった。
その背中をただ見送る俺。
でも、だましてたのは確かだし。
…………。
しばらくして、成瀬が教室から出てきた。
その顔は神妙で。
職員室にいる、他の先生達も、成瀬の行動を静かに見守っているようだった。
成瀬はまっすぐこっちに向かってくる。
俯きがちに。
……ドキ
ドキン ドキン
勝手に心臓が加速を始める。
それは重くて、苦しくて。
まるで事件を起こした犯人が、裁判の判定を受ける時みたいだ。
ドクン
ドクン
目の前まで来ると、成瀬はその視線を俺に合わせた。
「咲坂……」
―――――……ゴクン