ヒミツの王子さま!
日向がわからない。
俺の事避けてんのに、そのくせ視線を感じて顔を上げると日向が俺を見ている。
……なんて事がよくある。
言いたい事でもあんのかな……。
そりゃあ、あるよなーって考えて、俺も何度か話しかけようとした。
けど、日向のヤツ……。
話しかけようもんなら、まるで水槽の中の魚みたいに口をパクパクさせるんだ。
そんで一気に顔も赤く染まる。
……ぷ! 金魚みてぇ。
って、笑ってる場合じゃないだろ、俺。
なんかテンパってる日向を見てると、かわいそうになって。
結局俺は日向と話すのをあきらめるんだ。
はっきり言えばいいんだ。
『キスしたのが腹立ってる』って。
「……」
机に肘をついて、窓の外をぼんやりと眺めた。
見える木々はすっかり葉を落としてしまって。
また芽を出す新芽を迎える準備をしだしている。
低く流れる雲は、見てるだけで寒くなってくる。
そこから視線をそらし、チラリと右側を見た。