ヒミツの王子さま!
『槙野が……』
って声。
槙野?
その声につられるように顔を上げて廊下を見ると、何人かの生徒が走っていて。
“いつも”とは少し違っていた。
「……なんかあったのかな」
るみが廊下を眺めながらぼんやり言った。
「…………」
まさか……。
パックを机に置くと、俺はガタンと席を立った。
「え……ナオ、どうしたの?」
いきなり立ち上がったもんだから、驚いたようにるみが目を見開いた。
胸騒ぎがする……。
ユルユルと足を踏み出すと、ごちゃごちゃの教室をぬうように抜けて、教室を飛び出した。
廊下にもたくさんの生徒。
だけど、そのどの生徒もある方向にむかって歩いていた。
俺はもつれるようにその間を走る。
「……っ」
そして、見えてきたのは……。
「なにしてんだ、アイツ……」
数人の生徒に囲まれた、日向の姿だった。