ヒミツの王子さま!
……。
…………。
「……ナオ……」
意味、わかんねーんだけど。
この展開。
俺も何してんの。
こんなのめんどくせー。
日向を背中に隠すように立って、視線だけを向けた。
「…もういいよ」
「……っ、だって……」
目を細めて、口元を緩めた俺に、日向の瞳からブワッと涙が零れた。
我慢、してたのか……。
泣くくらいつらいなら、こんなことしなきゃいいのに。
ほんとに……
しょーもないなぁ
「サンキューな」って日向にだけ聞こえるように言って、俺は顔を上げた。
「……」
「……」
俺と目が合っただけで、バツが悪そうに視線を泳がす連中。
その中には、ミスコンの時に「頑張れ」と応援してくれていた顔もあって。
――ああ。
俺はみんなを騙してたんだ
って、思い知らされた。