ヒミツの王子さま!
全員が、成り行きを見守って押し黙ってる。
その重圧に、押しつぶされそうだ。
その時、日向が俺のセーターの裾を掴んだのがわかった。
それだけで伝わる、日向の体温。
そして……震え。
ふと周りを見渡すと。
さっきよりずいぶんたくさんの人が集まってきていて。
はぁぁあ。
そう、深くため息をつくと、ついでに小さく息を吸い込んだ。
……。
「……しょーもないミスだった。
ただの記入間違い。
たったそれだけのことで、俺は女じゃないとこの高校に入れなかった。
最初はさ……
マジでありえねーって思ってたけど、だけどそれはそれで楽しくて」
なにもかも、ありえない事で。
慣れない事だったけど、理事長の言うように、俺は楽しでたんだ……。
「だからかな……。
いつの間にか、俺が女としてこの学校に通ってて。
みんなは……、
俺を女って認識してるって事忘れてた。
バレたら退学って言われてたんだけど、俺…
バレてもいいか、なんて心のどっかで思ってたんだ。
日向も壱也も、必死で隠そうとしてくれたのに……
俺、ほんとはそう思ってた」
そうなんだ……。
俺、こーなってから、体の中の毒素が抜けたみたいに軽いんだ。
日向や壱也にも……もう迷惑かけたくない。
落としていた視線を上げると、俺は手で髪をクシャリとすいた。