ヒミツの王子さま!
「…………みんなごめん!
理由はなんであれ、偽って女の恰好してたのには変わりないんだ。
ほんと、悪かった」
体を折り曲げて、みんなから顔を隠した。
「……でも。どんな形であれ、この高校へきてよかったって……。
勝手だけど、そう思う」
目尻を下げて微笑んだ俺を、この場にいた誰しも、ただ見つめていた。
視線が……
刺さるんですけど。
でも。これでいい。
矢面に立つのは、俺だけでいいんだ。
――キーンコーンカーンコーン
ちょうどその時、午後の授業の開始を告げる予鈴が鳴った。
しばらく、誰も動こうとしなかったけど、先生が「なにしてんだ!」って現れたことで、ようやくそこで動き出せたんだ。
5時限目の授業は、英語で。
この受け持ちの女の先生は、ただ教科書を読んで聞かせ、黒板に書いていくって進め方をする。
いつもならかっこうの昼寝タイムなんだけど……。
頬杖をついて、窓の外を眺める俺の後頭部に突き刺さる。
チクチク視線……。
あーあ。
俺……何、自分からしゃべっちゃったんだろーな。
やっちまった……かも。