ヒミツの王子さま!
え?
「なんで?」
は?
なんでって…………。
「だって、普通言うだろ」
キョトンとして言った俺に、葉月は宙を仰ぎながら「言うのかな?」と髪をクシャリとすいた。
「……いや、言わないでしょ。
君が女だろうと男だろうと、それはどっちでもいい事だし。
あ、でも日向と俺を邪魔した時は正直邪魔だなとは思ったけどね。
薄々は気付いてたけど、あの時はっきりしたよ。
君の気持ちが」
「……」
気持ちって……。
そっちなの?
性別はどうでもいいと言ってのけたこの男……。
ただ者じゃない。
ポカーンと葉月を見上げていると、ふいに葉月もその視線を落とした。
――ギクッ!
それでやっと我に返る。
長い前髪に見え隠れする切れ長の瞳の中に、目を見開いた俺が写ってるのが見えた。
……近い。