ヒミツの王子さま!
「ナオ……いつのまにマスターしたの?」
「なにが?」
意味わかんないんだけど?
あまりにビビってるその顔。
ブサイクって言ったこと、そんなに怒ってんの?
って、立ち止まったるみに視線を向けた。
「あたしがずーっと欲しかったあの″天使の微笑み″!!!
いつマスターしたのよぉ」
「はあ?」
俺が?
まさか。
「アホらし」
「ええええっ」ていつまでもうるさいるみはほっといて、俺はさっさと校門をくぐった。
「―――……ナオ!」
「まだ何かあんの?」
大きな声で呼び止められる。
そんな大声出さなくても……距離考えろ。
るみが言う、いつものジトーって視線で振り返る。
「あたしね?
あたし……何にたいしてもまっすぐで正直な、咲坂ナオって人間が好きだよ!」
「…………」
そう言って、にっこりと笑う。
通り過ぎる生徒が、ジロジロこっちを見てる。
だけど、るみにはそんなの関係ないみたいだ。
変なヤツ。
ほんと、変……。
「……声デカいんだよ」
そう言って、「バーカ」って小声で言った。
不覚にも、嬉しいなんて思ってしまった。
ちゃんと、俺を見てる人がいたんだって。