ヒミツの王子さま!


教室に入ると、なぜか賑やかだった話し声が
ピタリとやんだ。




「……」




視線が集まる。




そう、それは俺に、だ。




……変か?これ……。



この学校最後の日。

校長が、俺に男子用の制服を用意していた。



今更、恥ずかしいからいらないって言ったんだけど。



みんなが正装で式に参列するのに、俺だけ違うのは秩序を乱すんだってさ。



相変わらずだな……なんて思いながら。
余計に視線を集めるって言ったんだけどなー……。



みんなの視線をくぐりながら、俺は席にたどり着く。

隣の席にはすでに日向も来ていて。
珍しく早い壱也は、俺を振り返って「おぉ、意外と似合う」なんて笑った。



俺はそれに「うっせ」とだけ返し、席に着いた。


俺たちが席に着いたのとほとんど変わらないタイミングで、成瀬が入ってきた。



今日の予定なんかを説明し始めた成瀬を横目に、チラリと視線を移す。





「……」





少し伸びた髪を耳にかけて、日向はまっすぐに前を見つめている。








でも、すぐに違和感に気付いた。




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