ヒミツの王子さま!
噂さの美少女
「好きですっ、咲坂ナオさん!付き合って下さい!」
俺は最近よく告られる。
しかも……
――――・・・・男から。
そして俺は、間違いなくこう答える。
「ごめんなさい」
「・・・ったく、なんなんだ」
呼び出しを受けるたび、イライラして帰ってくる俺を見て、日向は笑ってこう言った。
「ちゃんと女の子に見られてる証拠だよ」
「………」
俺は小さく溜め息をついて、ニコニコ笑ってる日向を軽く睨んだ。
「それ、あんま嬉しくない」
「え?」
日向は『なんで?』というような顔で俺を見つめた。
その顔を見て俺はさらに、ムカムカしてしまう。
ちょいちょいと日向を呼ぶ。
日向は興味津々という顔をして身を乗り出した。
「俺、健全な男の子なんで。好かれるなら女がいい」
日向の耳元に口を寄せて最高に甘ったるい声で、意地悪く囁いてやった。
日向は一瞬目を丸くして慌てて体を離した。
「・・・そんな事!!今は言っちゃ・・・だ、ダメだよっ」
顔を真っ赤にして俺に視線を合わせない日向。
その反応。
思った通りでおもしろい。
最近の俺は、日向をこうしてからかっては密かに楽しんでいた。
肩を震わせて笑う俺を見て、日向は顔を赤らめたまま困ったような顔をした。