ヒミツの王子さま!
前を見据えるその目には……。
泣いてる?
赤くなった瞳。
寝不足……かもしれないし。
そんなことを考えていたら、ふいに日向が振り向いた。
ビクッ!
「……」
「……」
日向は俺が見ていた事にさらに驚いて、勢いよくその視線を外した。
……はは。
情けね……。
目が合っただけなのに……。
でもさ、そんなあからさまに逸らす事なくね?
気付かれないように、小さく小さくため息をつくと、俺は窓の外を眺めた。
ここからはグランド。
さらに体育館も見えて。
たくさんの生徒が列をなして、体育館の小さな入口に吸い込まれていく様子がはっきりわかった。
一度教室を出てった成瀬。
その瞬間、俺の席の前に、誰かが立ちはだかった。