ヒミツの王子さま!


……。


顔を上げると。





「……前田」



クリスマスの時に、あのパーティを主催した前田がすごい形相で俺を睨んでいた。




「……お前さ、俺らになんか言いたい事あんじゃねぇーの」




低い声。



そして、教室は一気に静まり返る。




俺は、ジッとその顔を見つめていた。


言いたい事?
そりゃ、ある。


だけど、それを今更言ったとこで、言い訳にしかなんないでしょ。

俺は言い訳するつもりなんかない。


女の恰好して、みんなに女だって言っていた。
それだけが事実。




前田のとなりに、もう一人。
砂原アユ。


彼女の瞳も赤い。




……?



砂原は泣かないように耐えているようにも見える。


リップを塗った唇をキュッと噛み締めて。
砂原はその口を開いた。





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