ヒミツの王子さま!
「ほんとなの? 学校辞めるって……」
「……」
クラス中が知っていたようだ。
みんな押し黙って成り行きを見守ってる。
視界の片隅にいる日向は俯いたままで。
そっか……。
だからか。
やっぱり泣いてたんだ。
また、俺のせいで。
あー……なんだこれ。
鎖骨の下あたりが、キシキシ痛む。
「……」
俺はゆっくりと立ち上がった。
ふたりに正面から向き合う。
ジッと俺の答えを待ってる前田と砂原。
そして、ほかのクラスの奴にも聞こえるように、俺は短く言った。
「うん。 そういう約束だったし
みんなも黙っててごめん。
もう、迷惑かけたりしないし
安心して」
「……んだよ、それ……」
前田が小さくそう言った、ちょうどその時。
「それじゃ、みんな準備してぇ」
成瀬の呼び声。
しばらくその場を動き出せなかった、他の連中も成瀬の催促に渋々廊下に出ていく。
前田も砂原も、成瀬に背中を半ば強引に押され、廊下へ向かった。
「……」