ヒミツの王子さま!
まるですがるような目。
う、なんの攻撃だよ、これ……。
「……いや、あの……黙っててごめん。 なかなか言い出せなくて悪かったよ。
日向のおかげで、俺……ここまでやってこれたんだと思う。 日向と、その、壱也がいなかったらつまんなかったし」
そこまで言って、俺は俯いた。
こんなこと言いたいんじゃない。
伝えたい事……。
こんなことじゃないだろ。
そう心の奥ではわかっていながら、俺は気の利いたセリフなんか言えなくて。
自分の不甲斐なさにうんざりする……。
ダメだ。 俺、全然ダメ。
小さくため息をこぼして、日向を覗き込むように見た。
「ほんとにありがとう。 元気で……、な?」
「…………なにそれ」
その瞳でキッと俺を睨むと、日向は大きく息を吸い込んだ。
「なにそれ!
元気でって……なに?どうして!?
これでさよならなの?
今日で……会えなくなるの?
変だよ!あたし、納得できないっ。ナオ悪くないでしょ?
やだ……やだよぉ」
その大きな瞳から、ポロポロと大粒の涙が溢れだした。
うわーんって感じで、泣き出す日向。
その姿はまるで、欲しいものが手に入らないで駄々をこねる子供だ。
固まった俺の思考。
固まった俺の体。
日向は、俺から俺らしさを奪う。
ど、どうすんだ……これ。