ヒミツの王子さま!
騒然とする館内。
だけど、俺はまっすぐに理事長を見つめた。
理事長も、俺をジッと見つめ返し、そしてそっと目じりを下げる。
すべてを見透かすように微笑むと、理事長はそっとマイクの前から身を引いた。
かわりに俺はその前に歩みでる。
全校生徒がそれぞれに、顔を寄せ合って俺を見る。
好奇の眼差し。
″アイツってたしか女じゃなかった?″
″みんなをだましてたって噂だぜ?男の制服じゃん″
なんて声が、ここにいても聞こえてきた。
「……」
…………。
スウッと息を吸い込んで、俺は顔を上げた。
「去年の秋に、俺はこの学校に転校してきました。
……女として」
そう言うと、館内の誰もが息をひそめた。
マイクを通して、俺の息遣いまで響いちゃいそうだ。