ヒミツの王子さま!
「……7年前にも、同じような事があったんです。
新しい学校に転校した時、とくに性別を偽ってたわけじゃないんだけど。
やっぱり間違われてて。
キツくて……子供ながらすっげぇ傷ついて。
だから、今回は女としてって事が条件だったから。
トラウマっつーか……。
受け入れる事もなかなかできなくて。
だけど……
もしこの事がバレたら、退学だし」
って……俺、何言ってんだろ。
この壇上からは、全校生徒ひとりひとりのの顔が、よく見えた。
みんなが、俺の事をジッと見つめていて。
言葉に耳を傾けてくれていた。
その中に、知った顔を見つける。
「……実際、退学ってのは俺の中でどうでもいい事でした。
こんな生活が終わるんなら、全然それで構わないって。
女になりすましてるなんて、ウザイだけで……」
壱也……。
まっすぐに俺を見つめる壱也。
ムカつくけど。
だけど、俺……。
お前に憧れてた……。
壱也みたいになれたらって……。
憧れてたんだぜ?
わかる?俺の言いたい事。
って、壱也に向かって眉をクイッと上げて見せると。
そんな俺を見て、壱也は肩をすくめるようにして口元を緩めた。