ヒミツの王子さま!
「だけど……。
そんなテキトーな考えの俺の為に頑張ってくれる奴がいて……」
壱也の斜め前には、るみの姿。
ハハ。
アイツ、なんて顔してんだ。
その顔は少し怒ってるようで、吊り上った大きな瞳でキッと俺を睨みつけてる。
怖いっつーの。
でも、知ってんだ。
泣かないようにしてんだろ?
るみの我慢してる顔、もう知ってる。
「一緒に悩んでくれたり、まるで自分の事みたいに泣いてくれて……」
――――……そうだ。
だから、俺はここまでこれた。
だから俺は…………。
「想ってくれて…………嬉しかった」
日向は、ただジッと聞いていた。
ただ、俺の話に耳を傾けてくれている。
「ほんとに、この学校に来て。
そんな奴らに出会えて、俺は幸せです!
こんな俺に、こんな最高の経験をさせてくれて
感謝してます」
静かに言って、俺は一歩下がると、頭を下げた。
「ありがとうございました」
ありがとう……。
ほんとに、ありがとう。