ヒミツの王子さま!
ハッピーエンドのその先に。
たった数か月。
だけど、すっげぇ濃い数か月。
理事長の言った通り。
もう少し、あの状況を楽しめる余裕が俺にあったらよかったのかも。
俺にとって、めちゃくちゃだったけど。
それでも、記入ミスをしてくれた母さんに、帰ったら伝えよう。
『ありがとう』って。
顔を上げると、理事長が俺を見つめていて。
目が合うと、ニッコリと笑った。
言いたい事。
そんなの決まってる。
もう一つしかない。
俺はもう一度、マイクの前に立った。
そして。
大きく息を吸い込む。
「……槙野日向っ!」