ヒミツの王子さま!
俺は、壱矢から背を向けて歩き出した。
後ろから俺より大きな歩幅の足音がついてくる。
俺はそれよりも、もっと大股で歩く。
でも壱矢はすぐに俺に追い付いてひょいっと顔を覗き込んだ。
「行かなくていいの?」
「なにがっ!」
イライラして壱矢をキッと見上げた。
壱矢はきょとんと俺を見下ろしている。そして不意にニヤッと笑って言った。
「トイレ」
「・・・・・・」
・・・・こいつ。
楽しんでるな?
俺がこんな格好して、どっちのトイレに入るか見てやがる!