ヒミツの王子さま!
もう列なんてない。
バラバラになって入り乱れてるたくさんの生徒の中から、俺の視線を引き付けて離さない蜂蜜色を見つけた。
俺の声にざわついていた館内がまた一気に静まる。
そして、サーッと割れていく人並みの中から。
驚いて、目を見開いている日向が姿を現した。
なんて顔してんだ?
あーあ、また泣いてたんだ。
そのピンク色の頬には、涙の筋がまだ残ってる。
言いたいんだ。
ちゃんと、俺の気持ち
届いて欲しい。
「好きだ!!!」
俺は、たぶん初めてお前に会った時。
初めて登校して、職員室の場所を聞いたあの時からずっと……。
「日向がずっと……好きだった!」
「…………」
きゃああああ!ってうるさいぐらいの歓声。
これは、あのMSC以上だ。
両手で口元を覆って、真っ赤に染まるその顔は。
りんごを通り越して、ゆでタコ。
楽しそうなるみに支えられて、日向はとうとうその顔を覆ってしまった。
笑える……。