ヒミツの王子さま!
だって、その真ん中にいるのは。
前田なんだ……。
「つかさー。俺らは咲坂が女と思ってたわけじゃん?」
「は?」
腕を組んで、周りに同意を求めるように「なあ」と促す前田。
……コイツ……まさか。
「だけど、その間、槙野は咲坂を男と思ってて……ふたりはいつの間にか出来ちゃってたわけでしょ?」
「……」
出来てないっつの。
って、ツッコむのも面倒くさい。
「納得できないよねぇ」
「できないできない」
って、はあああ?
今言ったの、るみと壱也じゃん!
「……あのなぁ……」
お前らふざけんな!って突っかかろうとしたその時。
「よし! んじゃあこうしよう!
キスしたら許してやろう!」
「はああああ?」
前田ぁあああ!
お前、マジふざけんなよ!
って、言おうとした俺の言葉は周りの歓声にかき消された。