ヒミツの王子さま!



だって、その真ん中にいるのは。


前田なんだ……。






「つかさー。俺らは咲坂が女と思ってたわけじゃん?」


「は?」





腕を組んで、周りに同意を求めるように「なあ」と促す前田。




……コイツ……まさか。






「だけど、その間、槙野は咲坂を男と思ってて……ふたりはいつの間にか出来ちゃってたわけでしょ?」



「……」





出来てないっつの。
って、ツッコむのも面倒くさい。




「納得できないよねぇ」

「できないできない」




って、はあああ?
今言ったの、るみと壱也じゃん!




「……あのなぁ……」




お前らふざけんな!って突っかかろうとしたその時。





「よし! んじゃあこうしよう!
キスしたら許してやろう!」



「はああああ?」




前田ぁあああ!
お前、マジふざけんなよ!


って、言おうとした俺の言葉は周りの歓声にかき消された。




< 192 / 214 >

この作品をシェア

pagetop