ヒミツの王子さま!


るみは俺に並ぶようにして窓に寄りかかると、胸ポケットから小さく折りたたんだ紙を取り出した。

それから、一度だけ俺の顔を見ると『コホン』と咳払いをした。


「MSCの内容はこう。学年で一人ずつ推薦で選ばれた生徒はその推薦者から紹介を受ける。
そのあとにありとあらゆる方法で綺麗に着飾って再びステージに立つの。
それから、それぞれみんなの前で何か一つ“特技”を披露するってわけ。
公平に審査するために、審査員はそこに来てた生徒全員」


早口に内容を説明すると、るみは「簡単でしょ」と付け加えた。


今まで窓から見える校庭を眺めていた俺は、思わず視線をるみに戻した。


「ダイヤの原石探しって訳」

そう言って楽しそうに笑っている、るみから目がそらせない。


額に青筋がたっているのはわかりきってる。
俺は、なるべく笑ってやんわりとした表情を作って言った。


「・・・・・今、なんつった?」

「・・・・え?」


るみは、きょとんとした顔で自分の言葉を思い返している。


「ダイヤの原石?」

「違う。その前」


眉をひそめて、悩んでいるるみをジロリと睨んで俺は溜め息をついた。


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