ヒミツの王子さま!
壱矢は何かをじっと見つめていた。
「?」
俺は壱矢の視線の先を追った。
あ・・・・。
もう一度、よく見ると小さなベンチに人影を見つけた。
俺はその後姿に見覚えがあった。
「・・・あれは?」
ゆるいウエーブのポニーテールが風にユラユラ揺れている。
そう、あれは。
「るみ?」
後ろ姿だけど、さっきまで一緒にいたからわかる。
あれは、持田るみだ。
たしか、るみの家も街外れだったはずだ。
バスで通っているるみは、学校から四十分程かかるところに住んでいるらしい。
明日の星創祭に向けて、やたらと張り切っていたるみ。
でも、ここから見えるるみの後姿はどこか寂しげで・・・・
泣いてるんじゃないかとも思わせた。
そして、その隣にもう一人。
男が座っている。
制服を着ている事から同じ高校の生徒だという事はわかった。