ヒミツの王子さま!
10月も半になると、夕方の風は冷たく感じる。
スカートの裾からフワリと滑り込む秋風に身震いした。
ちくしょー。
女ってさみぃんだな・・・
こんなスゥスゥしてるもん、よく真冬になってもはいてんな。
俺はそんな事を考えながら目の前を通りすぎる女子高生を眺めた。
・・・・壱矢・・・早くしろよ・・・
はぁと溜め息をついて、顔を上げた。
あ、やべ。
「・・・・ナオ!?」
「るみ・・・・・・」
公園から出てきたるみにちょうど出くわしてしまったんだ。
俺の目の前に立ちすくんで、その目を見開いている。
『なんで?』とゆう顔をして口をパクパクさせるるみに俺は苦笑いを溢した。
「あー・・・ども」
俺は何と言ったらいいかわからず、片手をヒラリと挙げて、そのまま首の辺りをポリポリと掻いてなんとなく誤魔化してみる。
や。誤魔化しきれてないんだけど。