ヒミツの王子さま!
カーテンの中は真っ暗で目が慣れるまでは何も見えなかった。
除々に目が暗闇に対応して、見えてきたものはグネグネと曲がりくねった狭い道だった。
ここを進んで行くと、途中できっと脅かす担当のやつが出で来るんだな?
暫く中の様子を伺っていたけど、こんな校舎の端までわざわざ来る生徒も滅多にいないようで中も静まり返っている。
壱矢もどこいったんだ?
カーテンの中から顔を出して、振り返った瞬間――
「・・・・ぶッ」
俺は何かに顔面からぶつかって思わずバランスを崩しかけた。
その拍子に誰かに腕を掴まれて倒れそうになった俺は何とかその場に留まった。
「ごめん、大丈夫?」
そう言って、軽々と俺を引き寄せた声の主を見た。
そこに立っていたのは見た事もない男だった。
俺の腕を掴んだまま壱矢に負けなどくらい長身のその男は申し訳なさそうに俺の顔を覗き込んだ。
「・・・痛かったけど、平気」
俺は、まだ赤い鼻を擦りながらその男を睨んだ。
・・・・誰だ?こいつ。