ヒミツの王子さま!
そう心の中で叫んで俺はケイゴを見上げた。
「・・・・・ところで、中に槙野日向いる?」
「へ?」
さっきとは違った真剣な瞳。
俺は、ケイゴの口から日向の名前が出てきて、一瞬言葉を失ってしまった。
日向?
知り合いか?
・・・・そか。クラス委員で共通点があるか。
なんとなく日向の居所をケイゴに言いたくないような気がして、俺の返事を待つ男の瞳から視線を落とした。
「中には居なかった・・・と思う」
「そうか・・・たく、どこ行ったんだ」
あからさまに落胆したケイゴは、力なく俺の腕を離した。
少し乱れた服を直しながら俺はチラッとケイゴに視線を向けた。
お前は日向のなんなんだ?
って・・・・・・
俺・・・何聞こうとしてんだ?
そんなの、どうだっていいじゃん。
俺には関係ないって。
俺は、ケイゴと別れると他のクラスに顔を出した。
行くとこ行くとこでなぜかミスコンの激励を受けて、俺は肩身が狭くなってその足で屋上にむかった。
「はあぁ」
なんだかさっきから俺の中に雲がかかったみたいになっている。
それが一体なんなのかわからなくて、俺は無性にイラついた。