ヒミツの王子さま!
俺は日向に背を向けると、またグラウンドに視線を落とした。
「るみが探してたよ?時間がないーって・・・」
そう言って、俺に並ぶと日向もフェンス越しに俺の目線を追った。
ドクン・・・ドクン・・・
待て?
なんかおかしいぞ?
俺、どうしたんだよ。
ミスコンの話に緊張してんのか?
風に乗って
日向のシャンプーの香りが鼻をつく。
「・・・・・・」
「ナオ?」
一向に話し出さない俺を見て、日向は首を傾げた。
・・・・やめろってば。
見るな・・・・・見るなっつーの!
その純真無垢な瞳で見つめられると何もかもが見透かされた気分になる。
「なんでもねぇよ。ほら、行くぞ」
俺はそんな気持ちをかき消すように話を打ち切った。
そして、ズンズンと出口に向かった。