ヒミツの王子さま!
恋に落ちる音
屋上から見るミスコン。
見えるって言っても、ここは4階だしステージ上の様子が確認できる訳じゃなかった。
ただわかるのは、豪華にあちこちに設置してあるスピーカーから聞こえる司会の声だった。
『さあ!今年も始まりました!!みんなー盛り上がってるかあぁあ?』
わあぁぁああ!!!
スピーカーを通して聞こえる興奮気味の声。
俺たちは、ただぼんやりその声を聞いていた。
『おおっとぉ?2年代表の咲坂さんがまだ来ていないようですね・・・一体どうしたんでしょうか?』
とってつけたように心配したセリフを言うMC。
俺は、なんとなく自分の名前が出てきて一瞬ビクリとなってしまった。
『時間厳守なんですが・・・これでは勝負になりませんね・・・今委員会が臨時で会議を行っているようです。・・・・・・・・はい・・・はい・・・・わかりました』
そう言ったMCは一呼吸置くと、さらに大きな声で叫んだ。
『2年代表、咲坂ナオさん!!!・・・・・・代表辞退!!!』
辞退って・・・俺だってこんなとこにいたくねぇよ・・・。
「そんなぁ・・・」
あんまりショックなのか、日向はその場に崩れ落ちた。
会場からブーイングも聞こえる。
一体、この勝負、なにがかかってんだ?
内心俺はホッとしていた。
だって、チャイナだぜ?
おかしいだろ。普通。
・・・・・いや、今の時点で普通じゃないんだけど。
俺は、座り込んでいる日向の横に腰を下ろすと、その顔を覗き込んだ。
「大丈夫かあ?」
俺の言葉なんか耳には届かないらしく、日向の肩は落ちたまんま。
はあ・・・。
「・・・あのさ、これで優勝した場合、なんかいい事あんの?」
「え!?」
「・・・え?」
俺の言葉を聞いた日向は、驚いたように顔を上げた。
その日向に、俺はビクリとなって眉を潜めた。
・・・なんだよ?