ヒミツの王子さま!


【校長室】と書かれた部屋の前で、返事を待つ。



「入りなさい」



しばらくして、中から女の人の声がした。



「…失礼します」



そう言って、成瀬先生は緊張した面持ちで扉を開け中に入り、俺もそれに続いた。



中には、女の人が二人いた。


一人は神経質そうな感じで俺を睨みつけ、かけている眼鏡をクイッと押し当てた。


もう一人は、年輩の人で真ん中の机に腰を下ろし両手を組んで穏やかに微笑んでいる。


「咲坂ナオです。今日から2年Α組に転入します」


成瀬先生は俺を、ずいっと二人の前に押し出した。


「…あなたがねぇ。咲坂さん、わかってるはと思うけど…あなたがほんとは男子なんて他の生徒に知れてしまうと大変な事になるのよ」


嫌味たっぷりに眼鏡をかけた女の人が俺をさも迷惑そうに見た。


なにこのオバサン!!


「もし万が一バレてしまったら…その時は退学ですからね」


「たっ…!?」



勝ち誇った顔をして見せるその“眼鏡”の言葉に、開いた口が塞がらず、ただパクパクとしてしまった。



たたた…退学ぅぅ!!?



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