ヒミツの王子さま!
まだ潤んだその瞳。
透けるような白い肌。
ぷっくりと赤く熟れた唇。
「………」
「……」
俺は、日向の瞳を見つめたまま、その場に縛り付けられたように動けなくなってしまった。
耳に入るのは、風の音と、スピーカーから聞こえる少し興奮気味の声。
でもなぜかそれが、俺たちを隔離してしまったかのように壁を作った。
俺は自然とその手で日向の頬に触れた。
少しだけ、日向がピクリと動いた。
恥ずかしそうに顔を真っ赤にして。
林檎のように色づいた頬を見て「かわいいな」なんて思ってしまう。
近づく唇…………
やば…止んねぇかも………。
日向の甘いシャンプーの香りに包まれて、俺は軽く目眩を感じた。
ガチャリ――……
前髪が触れる距離に日向を感じたのと同時に、屋上の入り口で音がした。