ヒミツの王子さま!
勝利の女神?
校舎内は生徒の数はまばらだった。
きっと、ほとんどの生徒がミスコンの行方を見守っているからだろう。
派手なBGM。
大掛かりなセット。
たくさんの照明達。
黄色い歓声。
学校がミスコンに力を入れているのがよくわかる。
だから、一体どうなってんだよ。この学校は。
俺はそれを横目で見ながらステージへ向かう。
「あーーーッ!! ナオこんなとこにいたぁ!!!」
日向の手を引いて廊下を走っていた俺を、物凄い剣幕で呼び止める人物。
思わず体が飛びはなそうになって、俺は足を緩めた。
「探したんだから! 今からじゃ間に合わない……って……あんた達一緒にいたの?」
そう言いながら俺達に歩み寄ってくるのは、るみだ。
あちゃー……見つかった。
「もお、どこ行ってたの!? 学食かかってんだよ?どーすんの?みんなナオが逃げたなんて勝手な事言ってるし……」
俺は日向から手を離すと、右の眉をぽりぽりと掻いた。
「あ……るみ、これには深い訳が……」
なぜか日向は真っ赤になって俺の顔をちらりと見上げた。
「……?
屋上に締め出されてたんだ。 たぶん他の学年の生徒がいたずら半分でやったんだと思う。 俺をMSCに出させないために。 ……おい。途中から出るのほんとにできないの?」
学食免除は譲れない。
なんとしても俺はMSCに参加したかった。
出れたとしても、優勝できるとは思えない。
だって、俺は男だぜ?
けど、なにもしないってのもなんかむかつく。
できる事はしたいんだ。
あの理事長が言ってたように「この状況を楽しんで」やろうじゃないの。