ヒミツの王子さま!
会場のまわりは、物凄い人だかり。
俺達3人は、たくさんの生徒にもみくちゃにされながら、なんとかステージのそばまでやってきた。
死に物狂い。
ある意味、サバイバルだ。
「あーっ!まじありえないんですけど!」
「なんかと着いたね……」
「うるせー! なんも聞こえねぇ」
大音量のBGMと、スピーカーを通して聞こえるマイクの声に思わず耳を塞ぐ。
近所迷惑とかじゃないのか?
そう思うくらいの騒がしさ。
ふと視線を巡らせると、小さな子供から腰の曲がった年寄りまでいる。
……その心配は、なしか。
「あー!ナオっ」
俺の胸倉を思い切り引っ張りながら、耳元でそう叫んだのはるみだ。
そのせいで、視界がグラリと揺れる。
「あぁ? なんだよ」
まるで満員電車の中にいるような感覚になりながら、るみはグッとその顔を寄せた。
「あんた、チャイナどうしたのよ、チャイナ服っ」
「は? んなもん知るか。 教室だろ?」
そんな大声出さなくても……。
うんざりしながら、少し引き気味でぼやく。
ユルユルと力を失くするみは、なぜかどんどん青ざめる。
『さぁ、続いてはそれぞれの代表に、特技を披露していただきましょう!
思う存分、自分をアピっちゃってくださいっ!
ちなみに脱ぐのはなしですからねぇー』
ヒートアップするMSC。
MCのその言葉を合図に、会場内がさらに盛り上がりを見せた。
「チャイナがどうかしたのかよっ」
「……」
俺はもう一度、るみの耳に顔を寄せて言った。