ヒミツの王子さま!
『1年代表の、兵藤かおりさんっ。 なんと美しいんでしょうか?これは……ウエディングドレスですね? 兵藤さんの推薦人は……なんと2年生ですねぇ、いいんですかぁ? もめませんかね?』
……。
アホくさ。
推薦したのが誰だとか。
それが何年生だとか。
とくにドレスがどうとか。
俺には一切関係ないし、興味もない。
どんな事してみんなの喝采を浴びたのかと思ったら。
結局は見た目かよ?
「つまんねーの。 みんな衣装で勝負なの?」
そう言って、俯いたままのるみの顔を覗き込んだ。
……だけど。
『おぉーっと……これは、どう言うことでしょうか?』
今度はなんだ?
MCがなにやら困惑してるようだ。
それに続いて、やっぱり会場内も少しだけざわついた。
気になって、体を捻ってステージに目をやる。
……なに、あれ?
そのドレス着た女の子の目の前に、やたら背の高い男が立ってる。
ステージの袖のこの場所からは、その男の顔がよく見えた。
ん?
あいつは、たしか……。
あ、そうだ。
「うそ……」