ヒミツの王子さま!

俺が首を傾げたのとほぼ同時。
隣で、日向が目を丸くして両手でその口を覆った。



『俺は、本当にかおりが好きだ。 かおりだけが好きだ。

……俺と付き合ってほしい』


『……』



その男は、大真面目な顔で“かおり”に告白した。



わー!って感じで、まるで悲鳴にも似た歓声が起こる。


いきなり出てきた男が、いきなり告白したようで、MCもどう対処していいのかわからない様子だ。


2人の成り行きを呆然と見守っている。


こりゃ、俺が今出てってもこの2人より目立つ事出来ると思えない。




「日向?」


いまだに固まっている日向に視線を落とすと、その顔を覗き込んだ。



「なんだよ、どうした?」

「……んで?」

「え? 聞こえないって。 なに?」



さっきまでの騒ぎとはまた別のざわめきに包まれている会場内。


その中で、日向の声は途切れ途切れにしか届かない。

でも、日向はそんな俺の言葉なんかまるで耳に入っていないみたいに、ぐるりと振り向いた。


「……?」


その形相に、思わずビクリとなって身を引いた。


なな、なんだよ?

俺、そんな悪い事した?




「なんでっ!? どう言うことなのっ?


 ねえ、るみっ!?」


「…………」



……は?


…………るみ?


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