ヒミツの王子さま!

放心状態の『ヨウジ』。

どんどん赤くなる頬を呆然と押さえて、ただ日向を見下ろした。
『ヨウジ』の背中に隠れるようにしているのは、かおり。
その顔からは血の気が引いて、もう真っ青。



『これは……えーっと……』



MCも、なんと言っていいのかわからない様子。

そらそーだ。


日向は、震える唇をキュッと噛み締めて、まだヨウジを睨んでる。

親友を思って、ここまでやってしまったのはいいものの。


どうすんだ?

……日向。




「ヒ、ヒナちゃん?」


モゴモゴと口が動いたと思ったら、ヨウジは引きつった笑顔を見せた。


『えーっと? まさか、ここへ来て……三角関係ですか?』


なんだか含み笑いをしたMC。

シンと静まり返っていた会場内も、次第に盛り上がりを見せる。
ザワザワとした中からは、この状況を冷やかしている声もあった。



「どうなってんだー?」

「おもしれーっ。 やれやれー」

「槙野ーっ、がんばれよー!」



その声に、ハッとして我に返ったように、日向はビクリを体を震わせた。


そして、見る見るうちに顔が火照りだす。


「……あ、あの……」



『さあ、高橋くん! 槙野さんの想いにはどう応えるつもりですかー?』

「えッ!?」


突然日向とヨウジの間に割って入ってきたMCが、マイクをヨウジに突きつけた。


『かおりさんもどうするんでしょうかっ?さあっ、さあっ、さぁあ!!』


そういいながら、日向とかおりをヨウジの前に押し出すようにしたMC。


「おおーっ! いいぞぉー」

「お前に槙野はもったいないぞぉーっ!」


会場も一気にヒートアップ。


「……なんだあいつら」


黙って聞いてりゃ言いたいこと言いやがって。

こんなのやっぱり馬鹿げてる。

MSCなんて、俺がぶち壊してやる!


俺がステージに再び足をかけた、その時だった。





「はいは~い。 そこまで~」


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