ヒミツの王子さま!
なんともぬるい声。
にへらと笑って、現れたのは、壱也。
『宮沢くん? もしかして……君まで!』
きゃー!
ってな感じで、会場は壱也の登場でさらに熱くなる。
「うちの大事な子、いじめないでくれるかな?」
壱也は、固まっていた日向の肩をグッと自分のほうへ引き寄せると、MCに向かってフンと鼻で笑った。
なんとも不敵な笑み。
少し顎を上げて、見下ろす壱也は……悔しいけど、かっこいい。
「……壱也? な、なんで」
日向はそう言って壱也を見上げた。
壱也はチラリと視線を落として、今度はヨウジを見た。
「な、なんだよ」
ヨウジは、それだけで圧倒されたように一歩後ずさりをした。
「邪魔してごめんね?
それから、こいつの気持ちもわかってやってくんないかな」
「…………」
壱也の言葉に、ヨウジはうつむいた。
「それじゃ、俺達はこれで」
そう言って、壱也は日向の肩を抱いたまま、俺達のほうへ歩いてきた。
今にも泣き出しそうな日向を支えるように歩く壱也は、俺に気づくとパッと笑顔になる。
「……」
ムカつく……。
また俺の邪魔しやがって。
つーか。
なんだよ……。
壱也、お前……日向のこと……。