ヒミツの王子さま!


「ナオぉ。 お前が出てこないから、俺がでしゃばっちゃったじゃん」


「……」



日向の肩を抱いたまま、俺たちに歩み寄る壱也。

うつむきながら、心もとない足取りの日向は、顔を真っ赤にしてちらりとその視線を上げた。


……んだよ。
その顔。


だったら出るな。


なんだかむしょうにイライラする。


日向に?

それとも壱也?



いや……たぶん、日向を守れなかった、俺自身にだ。



「って、チャイナは? ナオのチャイナ姿見てみたかったな、俺」


「……るせ」




顔をゆがませた俺をみて、壱也はなぜか満足そうに目を細めた。

それから、日向に視線を落とす。



「日向」


「……え」



うつむいていた日向はハッとして顔を上げると、その日向の背中を壱也がそっと押した。



押しやられた先は……。




「……るみ……ごめん……あたし、勝手なことしちゃった」


「……」





そう言って体を折り曲げた日向をじっと見つめる、るみ。


押し黙ったまま、何も言わない。

気が付くと、るみの真っ白な手が小刻みに震えていた。



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