ヒミツの王子さま!
「……」
そんなるみを見て、日向の大きな瞳が揺れている。
なんだ?
さっき、るみは自分のためにステージに乗り込んだ日向を見て、嬉しそうにしてたんじゃなかったのか?
今のるみの様子だと、どうもそうじゃないらしい。
そんなふたりを黙って見つめるしかない俺。
仲裁に入った方がいいのか?
そう思って一歩を踏み出したその時、壱也がスッと腕を伸ばして俺を制止した。
「……」
ジロリと見上げると、壱也はただふたりの行く末を見守っているようだ。
なんだよ……それ。
壱也のそんな態度が気に入らなくて、俺は小さくため息をつくと出した足を引っ込めた。
「……あたし、怒ってるんだからね?」
「……うん」
唇を噛みしめて、足元に視線を落としたるみ。
日向はコクンと頷きながら、キュッと瞼を閉じる。
「ほんと、バカなんだから」
「……うん」
「お人よし」
「……ん」
「あたしなんかのために、日向が傷つくことない」
「……」
最後の方は、声も震えてて。
それは小さなものだったけど……。
賑やかなステージの袖でも、この空間だけシンと空気が静まり返ってる気がした。
そして……。