ヒミツの王子さま!
またもや日向のピンチ。
ほら、壱也の出番だぜ。
2年が優勝したならそれでいいじゃん。
理由なんか俺は興味ないね。
そんなことを考えてたら、なんか無性にイライラしてて。
その気持ちを落ち着かせようと、意味もなく髪をかきあげていた俺の足元に影が落ちた。
「……」
顔を上げると。
「ど、どうしよう……ナオぉ、あたし……何もしてないのにっ」
……。
顔を真っ赤にした日向が、俺の腕をギュッとつかんだ。
『槙野さーん。 授賞式するから早く出てきてくださーい』
ステージから俺らの姿を確認したMCが、スポットライトを浴びながらこっちに手招きする。
「無理無理! もうあそこに行けないよぉお」
「……」
今度はそのMCから姿を隠すように、俺の背中に回りこんだ。
腕、痛いんですけど……。
グイグイ引っ張られて、体のバランスを崩す。
って、俺だってどうすりゃいいの!
この展開なんだよ!
『槙野さーーん』
まるで楽しむみたいな声。
あーー、くそ!
ジロリと目を細めた、その時だった。
「うぁっ!?」
「ひゃあっ!?」
ふいに体が何かに押され、俺と日向は倒れこむようにステージに上がってしまった。