ヒミツの王子さま!
ヒーナータ!
鳴り止まないヒナタコール。
「……」
「……」
前のめりになったまま、俺たちはステージの脇で固まる。
嘘だろ……。
俺、今の流れで関係なかったよね?
『おお! これはこれは。 棄権されたはずの咲坂ナオさんではありませんか!
あなたと槙野さんは同クラでとても仲が良いようですね?』
『あ?』
いきなりマイクを向けられて、身を引きながら眉間にシワを寄せる。
そんな俺なんかお構いなしでMCのトークをさらに続く。
『ほっほ~、ウワサ通りキレイな顔をされてますね!
でも惜しい! なんですか、その挑発的な顔はっ。
いや、それもいいのでしょうか?
あれですか? ツンデレということなんでしょうか?』
「……んだとぉ?」
「ナ、ナオ! 落ち着いて!」
言わせておけばいい気になりやがって!
ふざけんじゃ……
『と、言うわけで今年のMSCの優勝は2年の槙野日向さん!
決め手は、
“好きな男のために場所を選ばない心の強さ!”
この会場にいるお客さんの3割の票を獲得して文句なしの優勝でーす!』
「ええっ!?」
まさに飛び掛かろうとしていたその時。
MCのそんな発言にガクリと体勢を崩す。
つか、言いたいこと言って勝手にまとめてんじゃねーよ!
ありえねぇええ!
日向が真っ赤になって否定する姿にも気が付かず。
俺がMCに飛び掛かったのは
言うまでもない。