ヒミツの王子さま!
「ところで日向は?」
いつもなら俺の席に日向と壱也、そしてるみの4人が集まって昼飯を食ってんだけど。
今日はなぜか俺1人。
その状況を見て、るみは教室をくるっと見渡すと首をかしげた。
「他のクラスのヤツに呼び出されてたけど」
「え!また!?」
「……」
飲みかけのジュースのストローを口にくわえながら、また窓に視線をそらす。
そうなんだ。
あのMSC以来、変わったのはるみがなついただけじゃない。
日向も壱也もさらに注目されるようになった。
毎日、ほとんど呼び出されてる……。
ま、……それは言い過ぎかもしれなけど、ほんとにこうして誰かに呼び出されて席を外してることが多くなったんだ。
……ったく。
俺のウワサはどこへやら。
今は、壱也と俺と日向の三角関係とか。
いやほんと、くだらねぇ。
「……ズズズ」
出てこないジュースをひたすら吸う。
「ねえ、それやめて」
「ズズズ」
るみが俺の前の席に腰を落として、迷惑そうに顔をゆがめた。
別に。
気になんてなってない。
イライラもしてない。
……別に。
日向の事なんて気にしてないっつの。