ヒミツの王子さま!
ドクン
「……」
なんだよ……。
まるで俺の表情を伺うような日向の視線。
大きな瞳の中に、吸い込まれそうな感覚になる。
ドクン
ドクン
俺の意志に反して、勝手に心臓は加速する。
見んなよ……。
グッと目を細めて、俺は片眉をクイッと上げた。
せめてもの反抗だ。
少しだけ開いた窓から、肌寒い風が頬をなでる。
それは俺の髪を持ち上げて、日向の髪を揺らし、教室を駆け巡る。
もう、長袖のセーターを着ないといられないほどなのに、誰が開けたのか。
その光景は、なぜかスローモーションに感じて。
俺は、日向から目が離せなくなった。
賑やかな昼休みの教室。
それなのに、周りの雑音はまるで聞こえなくて。
カーテンのこすれる音と、グランドの生徒の楽しそうな声が届くだけだ。
一瞬の事だった。
「あ、そだ」