ヒミツの王子さま!

そうだ、
関係ねーし。

煮え切らないような悶々とした気分で俺は半日を過ごした。



HRが終わって、それぞれ部活だったり、委員会だったりで放課後の学校にはまだたくさんの生徒が残っている。

下駄箱でスニーカーに履き替えて校舎を出た。




「ナオっち、またね~」


「咲坂、なんだよ、ひとりで帰んの?めずらしいな」




そこで何人かの生徒に声をかけられた。
「おぉ」なんて適当にかわしながら俺は校門へとは真逆に進んでいた。



校庭を横切って、校舎にそって曲がると、見えてきたのは。

図書室。




――俺には、関係ない。
なんてそう思いながら、気が付くと俺の足は無意識にそこに向かっていて。


少しだけ開いた窓からこっそりと中の様子を覗き込む。
と、もうほとんど人影のない図書室の中で動く人影を見つけた。

それが誰だか考えなくてもわかった。


……日向だ。

そして、日向と向い合うように立っているのは、昼間言っていた葉月慧吾とか言うやつ。


壱也に劣らない長身。
艶めいた真っ黒な髪。


でも、その顔は外から覗く俺の位置からは見えなくて。


開け放たれた窓。
そこに備え付けられた本棚にそっと手をかけた葉月。



やばっ!


あまりに距離が近くて、思わずしゃがみ込む。



息を押し殺して、
気配を消す。


……バレたか?


でも、日向も葉月も俺の存在にはまったく気づかずにいた。



ふー、危なかった……



……って何してんだ、俺!


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