ヒミツの王子さま!



「ねえ、他のみんなは? こんなに待っても他の人来ないね。どうしたんだろう」



小さいけど、確かに聞こえた日向の声。
その声色は、少し困惑していた。


そんな日向に、葉月がクスリと笑うのがわかった。
それに反動して、俺の動きも止まる。




「ごめん。 委員会なんて嘘なんだ」

「え?」

「そうでもしないと、日向俺とふたりになってくれないでしょ。 だから悪いとは思ったんだけど、嘘ついた」




楽しそうにクスクス笑いながら、少しだけ意地悪く言った葉月。



「……なんで?」



日向の声に、緊張の色が見えた。




「君が、鈍感だから」




余裕たっぷりに言う葉月。



……コイツ、何が言いたいの。
胸の中が熱い。

ドクンドクンって鼓動を打って、どんどん激しくなる。


頭に血が上る。



靴のこすれる音。


小さなこの音は、日向が葉月から遠ざかった音だ。




窓の下で、俺は息をひそめた。


周りの音なんか聞こえない。





「どういう意味?」

「わかんない? 俺、日向だ好きなんだ」






喉の奥を掻きむしられるような気がした。


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